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185億ドル規模のポテンシャルを秘めるスマート農業、デジタルトランスフォーメーションの鍵はAIとデータにあり!

文/ Jessica Chien, FLOW AIデータ処理事業部担当者

前書き:
初期の台湾は農業を経済の主軸として頼ってきましたが、工業化と農村の高齢化が進むにつれ、今後の10年で11万人ほどの高齢農業従事者が引退すると予想されています[1]。人件費の高騰と若者の地元回帰への消極的な姿勢が見られる中、農業が生き残るには、必然的に変革していかなければなりません。問題は、どうやってこの難題を解きほぐしていくのか?

幸いなことに、AIとスマート農業の時代が来しました。人工知能の出現は、大量な労働力を要求してきた伝統農業に改革のきっかけをもたらします。

中国の農業サイト《AgroPages》の報告によると、

実用化を原則としたスマート農業の市場は2022年までに184.5億ドルの規模と、年平均成長率13.8%に達すると予想されています。

応用例としては、農園における日照・温湿度の遠隔制御、作物の生育状況の観察、自動収穫ロボット、害虫と病気の予防、果てに地域規模の3次元植生計測まで、スマート農業の適用範囲は実に広大である。

農業スマート化の流れに向けて、世界各国はそれぞれ打開策として「ビッグデータ」の活用進めています。

EU最大級の農業生産国であるフランスにとって、スマート農業は避けては通れない問題です。フランス政府は農業団体と民間企業と提携し、栽培、漁業と畜産をはじめ、さらに農業技術開発、商業市場、法律・政策まで網羅した農業情報のデータベースを作成しました。これによりフランスの農家さんは強い日差しの中でわざわざ畑にいかなくても、スマホさえあれば「農業」に関する情報をすぐ手に入れられます。

日本はアジアにおいて特に高齢化問題が著しく、農業従事者の平均年齢は67歳に達しています。日本農林水産省の計算によると、2015年の時点では約150万人の農業従事者がいましたが、2030年頃には約75万人まで一気に滑り落ち、15年で半減してしまうという。この数字を見た茨城県庁は、地方農業を救うために行動を起こそうと決意しました。

画像出典: Sagri
画像出典: Sagri

茨城県は東北地方に位置し、東京ドーム460個分ほどの広大な農地を有しています。 今年(2019)4月、茨城県は「つくば市未来共創プロジェクト」を始動し、政府・農家・ベンチャー企業の産学官連携を通してAIを活用したスマート農業ロボットの開発に取組みました。低コストな自動収穫ロボットをご当地のトマト、きゅうり、ピーマンやライチ農家などに導入し、画像認識AIを使った「稼げる農業」を実現して次の百年に向けて永続する農業ビジネスを作り出そうとしています。


スマート農業の始りはデータ集め

画像出典: Sagri

FLOWのAIデータ処理事業部が取組んできたスマート農業プロジェクトは自動収穫、生育監視、害虫・病気予防などの主な分野をカバーしており、お客様は大手企業からベンチャー、農業団体などを含めており、特に日本のお客様に人気があります。

AI化に着手する前に、何よりも大事なのが「データ収集」です。例えば、最上級の和牛にはきめ細やかな肉質とちょうどいい割合の脂身が必要条件です。「良質なデータ収集」はこれに通じるところがあり、以下の条件をクリアしなければならない:

  1. 画像データの「質」は鮮明で精確なのか?
  2. 各標的オブジェクトと背景の「割合」は均等であるか?

データ収集の方向性を間違える、もしくは各種オブジェクトの数にばらつきがあり、画像がはっきりしないと機械学習に悪いバイアスをもたらしてしまう危険性があります。

例えば、花卉農地の生育状況監視という命題のAI応用の場合、通常はドローンを使いハイアングルから撮影します。画像データを集める際、不要なノイズを避けるため雑草や芝生、標的ではない花などにも細心の注意を払い、状況に応じては天気の影響も考慮する必要があります。

しかし果実収穫用のAIロボットの場合、目線の高さでの撮影になります。大きさの近い、かつ鮮明な茎、葉、つぼみ、花、果実などの画像データを集めることに重点を置くことでより迅速に良好な学習成果を得ることができます。 データ収集が終わると、いよいよ次の重要作業──データアノテーションに入ります。


農業データアノテーションの創意工夫

農業向けのデータアノテーションは、実は「植物学」関聯の知識が大量に要求され、細かいところまで気を使う必要があるため、通常のデータアノテーションよりも単純なんてことはありません。

弊社の近代的なオフィスでは、鉢植えのトマトがずらりと並んでいる時期がありました。しばらくしたらトマトがラズベリーや百合などに変わり、訪問にきてくださったお客様はこれらの盆栽は観葉植物として置かれていると思うかもしれませんが、実はマネージャーとアノテーションチームが植物の生長過程を間近で観察し、アノテーションに必要な特徴と情報を得ようと植えられたものです。どうしてもわからない問題があった時は、農業の専門家に相談を持ちかけ、植物の特性を十分に理解した上でアノテーション作業に挑みます。

画像出典: FLOW

弊社は後ろ盾として豊富なアノテーション経験を有しているため、異なるタイプの農業プロジェクトに取り組む際でもすぐに過去ケースからノウハウを転用し対応できます。

例えばラズベリー収穫ロボットの場合、アノテーション時に果実と花だけにラベルをつけて機械に学習させると一つの「盲点」に気づくでしょう──それは、「枝」もアノテーション標的であり、主幹と枝幹を明確に区別をつける必要があることです。

それは何故でしょうか?

もし果実にだけラベルをつけると、ロボットは収穫という任務を達成するために枝ごと切り落としてしまう可能性があり、逆に深刻な損害が与えてしまいます。同時に、枝には主幹と枝幹の2種類があり、複数の矛盾しないルールを機械に教えてあげないと切っていい・いけないものの分別ができません。

簡単に聞こえるかもしれませんが、お客様とAIロボットの観点から物事を考えるには、データに対する専門的な洞察力と新しいソリューションを提供する能力は必要不可欠です。

FLOWとお客様との関係は、単に注文・納品というよりも共にAIの実装・応用を達成するために協力し合う仲間だと我々は考えております。

フィードバックシステムを通じて、アノテーションルールの最適化だけでなく、お客様がデータのズレの修正するために費やされる時間の節約にも繋がります。


IT技術でお客様とアノテーターを支援する

稲を見たことのある方ならご存知かと思いますが、稲穂の体積は小さく、中にはアリよりちょっとだけ大きいものもあります。以前とある研究機関からの稲穂のアノテーションやってほしいとの依頼がありましたが、一本の稲には2000粒もの稲穂がついてることもあります。つまり一枚の画像には何百個のオブジェクトにラベルをつける必要があり、アノテーターの目の負担の他に、一度作業時間が長引いてしまうと納期にも影響を及ぼしかねません。

そんな時は、弊社の独自プラットフォームに搭載しているスマートツール「DeepFit」の出番です。スマートツールのおかげで、アノテーターはバウンディングボックスを引いて離すだけで、枠線は自動的にオブジェクトの端に揃うので、調整する手間が省けられます。ボックス一つに3~5秒を短縮できると仮定すると、画像100枚ごとに5~8分も時間を節約できます。これにより、アノテーションの作業効率は指数関数的に向上できました。

アノテーションは迅速かつ正確に行われる必要があります。お客様の品質と効率への期待に応えるためには、前もって適切な人材を正しいプロジェクトに配置する必要があります。

国と業界を跨る何百個のプロジェクトを経て、弊社はアノテーターに必要な4つのコアスキルをまとめました。それが、ロジカルシンキング、面積比弁別力、身体動作能力と輪郭線判別力の4つです。我々は抱えている数百名のアノテーター全員に適正分析を行い、産出量と効率が最大になるよう独自プラットフォームを通じてそれぞれのプロジェクトに最適なアノテーターを配置しています。

もう一つの例として害虫関聯のプロジェクトがありまして、これには仕事が細かく、暗褐色の昆虫の群れと向き合っても動じない、かつシャープで論理的な判断ができるアノテーターが必要です。この場合では、動態追跡と面積比の分弁が得意なアノテーターはシステムによって優先的に選出されることはありません。

産官学連携のおかげで、スマートAIの時代がもう目の前まで来ています。AIとデータの力があれば、農産物を「苦労して作る」というのは近いうちに過去の話になるのかもしれません。

参考資料:未来農業4.0世界各国のスマート農業発展戦略スマート農業の現況[1]

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