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FLOW AI代表取締役陳潔如:「AI起業して得た3つの学び」

文/Flow AI Blog編集部

「今回の作業で、両腕にそれぞれどのぐらいかかりましたか?」

「右が左より、平均 0.6 秒多くかかりました」

「妙だ。腕時計は通常左手につけているから、そっちのほうが時間かかるはず」

「では、ビデオ通話で観察して修正しましょう」

「子犬が物を見つめる時って、顔に何か特徴ないのかな」

「両目がそれぞれ大きかったり小さかったりのは?」

「ちょっと待って、白目って特徴にカウントされます?」

会話だけ聞いてると、どこかの医療現場にいると錯覚するでしょう。業界の知人にFLOW AIの作業状況について話すたび、決まって誰かが「指示通り画像の中の特徴にラベルをつけるだけで、そんなに議論することあるのか?」と興味津々に目を見開いて私に聞きます。

話せば長くなります。

昨年の今頃、私はマーケティング部門の仲間たちとAI市場に参入するために調査と視察に勤しんでいました。これは、FLOWでのビジネスモデル検証の33回目です。それまでの5年間で計29回失敗して、30回目でやっとBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)に活路を見出しました。

多くの方々が人工知能の発展によって仕事を奪われないかと心配している中、私は直近2回の検証からあることを実感しました。それは、BIMやAIなどの新しいテクノロジーの出現に伴って、新しい形のサービスへの需要は必ず生まれることです。

弊社FLOWの経験では、正しい着眼点を持ったうえで仕事再設計の方法を知り、データとシステムの力を活用すれば、技術的イノベーションは逆により付加価値の高い仕事の創出に繋がります。弊社の「障害者の雇用機会を作る」という理念もまた、これがきっかけで実現できたと言えます。

「正しい着眼点を持つ」というのは、いわゆるユーザーの「痒いところ」を見つけることです。

AI業界では、データアノテーションはプロジェクトにおいて最も些細な仕事でありながら、往々にして企業を苦しめる足枷と化しています。アノテーションは単純作業だが非常に手間がかかるため、作業スタッフと品質管理スタッフの確保が難しいことと、品質チェックされていないデータは却ってモデルの開発速度を遅らせる恐れがあります。そのため、アノテーション作業を外注業者に依頼する企業も少なくありません。

このような背景から、データアノテーションのアウトソーシング産業はインド、アフリカと中国で特に活発になっています。中国ではかつて製造業だった工場をそのまま流用してパソコンとモニターを並べただけの業者がほとんどで、これを冗談で「人工知能ならぬ工人知能」「アノテーション工場」と呼ぶ人も多いです。従業員たちは昼夜問わず働かされ、会話をする必要もありません。誰でもできる仕事なので、効率の悪い人をすぐに淘汰しても人手不足になる心配はありません。

FLOWのAI部門は違います。

テクノロジーとシステムでスペクトルの両端を結びつける

台湾初かつ現在唯一AIデータ処理・アノテーションサービスを提供する企業として、これは技術と知識が強く要求される仕事であることを重々承知しています。お客様に対しては、AIプロジェクトを滞りなく進められるために生産性とクオリティを確保するのが最優先事項であり、社内に対しては「障害者雇用機会の創出」という理念を守り抜きます。

そのため、FLOWはITシステム、アノテーションツール、スマートツール、リモートコラボレーションプラットフォームなどの開発に注力し、更に多様性・尊重・コミュニケーションを重んじる経営文化と相まって、スペクトルの両端に位置する対外・対内目標の交点を見つけることを目指しています。

沢山のお客様とお話して気づきましたが、アノテーション業務をパートスタッフやクラウドファンディングサイトに丸投げする企業は台湾では少なくありません。確かにこのやり方は以前に比べてかなり楽になりますが、品質面でのリスクが懸念されます。我々にとって、データアノテーションは「誰でもできる仕事」ではありません。アノテーターの募集から教育訓練、評価、フィードバック、歩留まり率の改善、データセキュリティに至るまで弊社独自のノウハウを蓄積しています。

例えば、弊社ではアノテーターの採用はオンラインで直接行われ、様々な評価項目、インタビューなどを通して志望動機と意欲の程を確かめています。採用された方は画像アノテーション研修、リモート作業研修などの訓練を受け、試験に合格して認証を取得してからでないと仕事に参加できません。正式にプロジェクトに配置する前は、アノテーション作業の本質を正しく理解できていることを確認するにさらに再試験を行います。

アノテーションの精度の肝はリアルタイムでフィードバックと調整を行える内部制御システムにあります。これはチーム全体の共通認識であり、一年以上の時間をかけて組織構造の最適化を繰り返し、何度も失敗してようやく今の形に辿り着いたのです。

弊社が持つ市場開発、プロジェクトマネージメント、在宅雇用とシステム・技術の4つの部門にはそれぞれ特徴があって、独自の業務を担当しています。中でもPMチームはアノテーション時の特徴定義と品質管理を行い、お客様と弊社の障害者パートナーを繋ぐ役割を担っています。各作業段階ではアノテーターたちのデータを観察して品質を確保するほか、さらに弊社はこれらのデータを全てクラウド化する準備を進んでおり、これがあれば作業中のアノテーターに適切な励ましの言葉とアドバイスを届けられます。

意外だと思うかもしれませんが、弊社の経験ではアノテーションの品質と歩留まり率の向上は結構な割合で障害者パートナーのフィードバックに依存します。こういったフィードバックは、計算モデルの改良にも一役を買っています。

弊社に在籍しているアノテーターの中にはどんなプロジェクトでも歩留まり率95%を常に維持している方がいます。品質管理チームのスタッフはアノテーターたちとほぼ毎日オンラインで交流しているためそのコツについて訊ねてみたら、なんとゲームが大好きとのことで、ホットキーとゲーミングマウスを活用して繰り返し作業を簡略化しているという。その後ミーティングの場でこの秘訣を共有しようとお願いしたら、チーム全体のパーフォーマンスの向上のみならず、彼も以前やりがいを感じたと話してくれました。

スマートリテールが主流になりつつある今、ズボンや靴のデータアノテーションの依頼をよくいただいています。一見単純なオブジェクトですが、思いもよらない落とし穴の数々が隠されています。そのため弊社スタッフは作業に移る前に何度もお客様とアノテーターと打ち合わせをし、定義をしっかり明確します。

ズボンには光源の違いによる色差の他にも長さや畳み方、正面と裏の判別などいろんな要素を考慮しなければなりません。靴のような立体物は各面それぞれ異なるポリゴンによって構成され、頭・胴・尾と3つのパーツに分解することができます。また、視角などの問題点もあり、ましてや何か別の物体に遮られた場合もよくあります。

最低限のコストで、業界と社会に最大限の価値を創出する

話を戻しますが、「指示通り画像の中の特徴にラベルをつけるだけで、そんなに議論することはあるのか?」という質問についてお答えしましょう。

科学の進化とともにAIの可能性も広がり、それに伴いアノテーションの対象もズボンや靴みたいなシンプルな物から感情、雰囲気などのより抽象的で複雑なものになっていきます。アルゴリズムだけでは、これに対応する術はないでしょう。我々もアノテーターと協力しあい議論を重ね、より洗練されていく中で異なるグループがそれぞれ生活に対するニーズや希望について触れる機会ができました。弊社はこれらの知見を活用してAIの実装と運用を加速させ、より多くの可能性と突破を目指したいと思っています。

FLOWはこの一年間、台湾で200名以上の在宅勤務の障害者パートナーを育成し、お互い協力しあい100以上のアノテーションプロジェクトを完成してきました。私が思うに、この数字に秘められた意味合いと価値は、社会全体への一種のメッセージではないかと思います。

これまで「労働力」として見られなかったかもしれない恵まれない人たちが、システムとプラットフォームの力によって他の人たちと同じようにAI業界に貢献でき、自分の収入源を持つことで家族への依存を下げることができました。弊社に使った1円1円は、御社のAIプロジェクトをよりスムーズに軌道に乗せられるだけでなく、社会的弱者の未来を変えるための手助けにもなります。

歷史上の大きな技術革新は、その都度に制度的と認知的な進歩をもたらしてきました。我々がやろうとしているのは、科学の力で恵まれない人たちが本来持っている強みを引き出し、市場に適応した資産に変えていくことです。この目標に向けて走り続ける弊社FLOW、そのために新世代の組織に即した企業文化と管理制度の作り方について熟知しています。

画像一枚のアノテーションを完璧にするために、この一年間私は仲間たちとともに多くの実験をしてきました。同じくAI時代を生きる経営者のお役に立てればと思い、その過程から得られた3つの教訓を以下に記します。

1、 タスクごとにデータを見つけ、そこから知見を引き出す

2、 組織設計と組織過程は成功の鍵。市場と組織自信のニーズに応じて調整し続けよう

3、 データとマネージメントから得た知見は、ITシステムと併せて運用できるものでなければならない。

これらは技術革新の「人間味」ある部分であり、決して機械に取って代わられることのない、人間しかできないことです。

ソーシャルワークX人工知能、「FLOW AI」から生まれた新時代の障害者雇用とは

若水國際 AI 數據服務事業部策略顧問-簡季婕

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